2014年6月22日日曜日
1日遅れのインド航空
過去に利用したタイ行き格安航空券は、パキスタン航空、エジプト航空、トルコ航空、フィリピン航空、インド航空、ビーマンバングラデシュ航空等など。その中で、利用回数が一番多いのはインド航空だ。
成田を昼に出発して、時間どおりならバンコク着は夕方になり便利だったのと、何より格安だった。機内食でカ レーが食べられるというのも魅力のひとつ。搭乗回数をパスポートで調べてみたら、確認できただけで50回ほどもあった。
インド航空もトラブルの多い航空会社だった。印象深いのは、成田での1日遅れ(ちなみにバンコクでの遅れは珍しくなく1日どころか3日遅れまで経験している)。
それは、1990年代半ばのことだった。
インド航空の職員が、成田発は明日になること、空港内のホテルに個室で部屋をとること、食事は用意することなどを説明している。僕にとっては、成田のホテルに泊まることなど滅多にできない経験なので、かえってワクワクしてしまったほどだ。ところが、短期で行く人たちにとっては大問題のようで、何人かが職員に食い下がっている。なかでも、ゴルフズボンに白いベルトの中年男性の剣幕は、他の人を圧倒していた。
「3泊しかないのに1泊減っちゃうじゃないか」
短期間の旅行のようだ。
「1泊分どうしてくれるんだ、イッパク分!」
1泊によほど価値があるのだろう。
職員は平身低頭。男性は更に勢いづいて、
「空港には出迎えが来てるんだ。どうしてくれる!」
「それではドンムアン空港にアナウンスを流します。お迎えの方のお名前を?」
男性はちょと気まずそうに、小声で、
「レックだ・・・」
タイでは、レックなんて呼び名はいっぱいある。空港で、「レック様・・・」なんて呼び出したら、何十人も現われそうだ。
「どちらのレック様か、会社名か何かお分かりですか?」
「・・・」
どうやら、レック様というのは、夜のお仕事の女性の源氏名のようだ。
それでも男性、気を取り直して、
「とにかく1泊分減っちゃうんだよ。1泊分どうしてくれるんだ、イッパク分」
さっきより明らかにトーンダウンしている。本音が聞こえてきそうだった。
「イッパツ分どうしてくれるだ、一発分」